スピーカ本来の性能を充分に発揮してお使いいただく為の基本的性質をご説明致しますので、スピーカ選定上のご参考として下さい。
スピーカの電気インピーダンスは、一般的に下図のようなインピーダンスの変化を示す周波数特性をもっており、スピーカ入力端子から見たボイスコイルの電気インピーダンスの絶対値が最低共振周波数(fo)以上の帯域で極小になる周波数のうち最も低い周波数(b点)における値を規定するのが原則です。
定格インピーダンスは4Ω、8Ω、16Ω、32Ωを標準としており、他のインピーダンスでも設定は可能ですが、特性、入力等が若干変化する場合があります。
JIS規格に従い、次の式で算出される電力。
P = V^2/Z
ここに
P:スピーカの入力(W)
Z:スピーカの公称インピーダンス(Ω)
V:ボイスコイルの端子における電圧(V)
スピーカを適正に動作させる為に指定された入力であり、規定の入力と定格インピーダンスとから算出された電圧を印加し、一般的にJISで規格された次の試験を満たす値を表示しております。
- 動作試験(プログラムソース)
- 異常音試験(正弦波)
- 連続負荷試験(ホワイトノイズ)
尚、定格入力を超えて長時間の連続動作をさせた場合、ボイスコイルの温度上昇による熱的破壊や、エッジ等の支持系及びモール線の機械的疲労破壊を発生させる原因となり、保証対象外となりますのでご注意お願い致します。
本サイト記載の定格以上の入力が必要とされる場合は別途ご相談下さい。
スピーカに極めて短時間の信号を加えた場合に許容される入力の最大値で、スピーカユニットまたはスピーカシステムにプログラム模擬信号を2分おきに1分間加えて、それを10回繰り返し、恒久的な損傷を起こさない入力の実効値を規定します。
一定電圧をスピーカに印加し、周波数の変化に対する出力音圧レベルの変化を表したもので、縦軸に出力レベル、横軸に周波数の目盛りを取ったグラフに描いた曲線です。スピーカの最も代表的な特性で、機械的振動と電気的信号の変換効率や再生周波数帯域などスピーカの音質を判断する上で最も一般的な目安とされています。
通常は通称JIS標準密閉箱における特性を規定しており、実際のキャビネットヘセットした場合はキャビネットの大きさや、内容積、グリルの開口面積や形状等々、様々な条件によって特性が左右されますので、スピーカ、キャビネット等を含めたトータル的な音作りをする必要があります。
スピーカの能率を表す値で、出力音圧周波数特性から求める。すなわち、1Wの入力を加えたとき、スピーカから1m離れた点で何dBの音圧レベル(0dB=20μPa)が得られるかを表し、個別に規定した3〜4点の周波数の平均音圧を求めます。
小口径のスピーカ等定格入力が1Wに満たないものはそれ以下の入力で測定した値を1Wに換算して表します。
尚、スピーカの周波数特性や出力音圧レベルは測定する無響室の条件や、JIS密閉箱のバッフル形状により影響を受けますので、他社のSPEC値とはそのまま比較できないことがあります。
通称"fo(エフ・ゼロ)"と呼ばれ、スピーカの振動系の質量とそれを支持するエッジ、ダンパー等サスペンションの柔らかさ(コンプライアンス)による共振周波数で、スピーカにおける低域の再生限界を決定づける重要なファクターです。
foは前述のインピーダンス特性から見る事ができ、電気インピーダンスの絶対値が極大となる周波数のうち、最も低い周波数と規定しております。またfoはJIS規格にてバッフルを使用しない状態での値を規定することになっておりますので、実装状態では空気の付加質量やキャビネットの容積によって決まる空気の剛軟度(スティフネス)等により変化します。
スピーカの音質、音量、耐久性は取り付け方法によって大いに影響されますので、下記の点に配慮していただきますようお願い致します。
- バッフル当たりについて
スピーカ前面部のクリアランスにつきましては、使用するキャビネットの形状、グリル形状、スピーカ取付け方法の条件が異なる為、スピーカ単体での規定が難しく、セット毎に御確認下さるよう御願い致します。特にスピーカ前面部においてスピーカ振動板(コーン紙)とグリルバッフル面の隙間に余裕の無いセットで御使用された場合、スピーカ動作時にグリルへ振動板が干渉し、ビリツキ音が発生する恐れがありますので、セットを設計する際には注意が必要です。 - スピーカ取扱い時の周辺状況
スピーカは磁性体ですので鉄粉やビス等が吸い付き易く、また周辺に半田屑やリード線屑がありますと最悪の場合、それらが振動するコーン紙に触れて異常音となる場合がありますので、周囲を清掃し異物の無い環境にして下さい。また、マイクロスピーカの場合は特に、スピーカ同士を重ねたり、金属などを前面の振動板に当てますと、内部のボイスコイル、及びリード線が損傷し、変形・断線・ビリツキ・音小等の異常が発生する恐れがございます。 - スピーカの性能は取り付け条件によって左右されます
キャビネットは許せる範囲で大型のものが望ましく、スピーカの前面を障害物や厚い布等で塞ぐのは一般的に良くありません。またスピーカ背面側を基板等の内容物で詰め過ぎたり、スピーカとバッフルの間に大きな隙間や孔が開いていたりすると低音域の再生が損なわれてしまいます。 - 無理な締め付けは異常音のもとです
スピーカの取付けはフレームの周辺全体へ均等に力が加わるよう配慮して下さい。一部を強く押さえるような取付けはフレームやコーン紙の変形、また異常音の原因となります。 - 端子ラグへの半田付けは所定の場所へ
端子ラグへの半田付けは所定の位置(下図a)へ行い、錦糸線(ボイスコイルリード線)を半田にて接続している部分(下図b)へは行わないで下さい。その部分へ半田付けされますと錦糸線がゆるんだり、はずれたりして、異常音や断線等の原因となります。必ず錦糸線を半田付けしてある以外の所へごく短時間に半田付けされるようお願い致します。(推奨条件:350±2℃/2sec)
- ボイスコイルには直流電位がかからないように(電解腐蝕を避ける)
ボイスコイルとフレーム(シャーシ)間に直流電位(ボイスコイルが〔+〕となるような電位)がかかりますと電解腐蝕でボイスコイルが断線する事があります。特に線径の細いボイスコイルの場合、また湿気の多い環境で使用する場合は非常に危険ですので、絶対に避けてください。 - スピーカ取付は多様です
上記以外にも注意する点は多くありますので、詳細は別途ご相談下さいますよう、お願い致します。